« 2020年12月 | トップページ | 2021年6月 »

2021年2月

2021年2月18日 (木)

業態別トレンド 衣料専門店編

アスレディー市場を囲い込め

2020年東京オリンピックに向けてスポーツ界全体的に盛り上がりを見せている。

東京オリンピックの前年にラグビーのW杯、翌年は関西ワールドマスターズゲーム2021年と、

大規模な国際スポーツイベントを迎える事からスポーツへの関心や企業等の投資意欲、

スポーツを通じた地域、経済活性化への高まりが考えられる。

スポーツ産業が日本経済をリードしていくような成長産業として発展することが期待されている。

ファッション業界でもこうした流れを受けて欧米で先行していたAthletic(運動とLeisure(余暇)を

組み合わせた造語の「アスレジャー」スタイルをコンセプトに打ち出したブランドや

シーズンディレクションを展開する店舗がここ数年のうちに広がり始めた。

日本国内における「アスレジャー」スタイルの広がりの中で、大きな特徴として取り上げたいのは女性客の掘り起こしだ。

従来のスポーツテイスト市場と云うとメンズ主体といったイメージが強かったところに

新たなに女性をターゲットにアスレジャースタイルを取り組む例が見られる。

スポーツNBブランド筆頭にナイキでは女性限定のトレーニング&ランニングイベントを両国国技館で開催、

「躊躇していたことに改めて挑戦し、一歩踏み出したいという女性たちを後押しする」キャンペーンを展開。

女性ターゲットに啓発イベントに取り組んでみた。又、アパレルブランドとのコラボレーションでは、

ジュングループと組んだNERGY(ナージー)を東京、名古屋、大阪の3大都市圏で展開、

トレンドに敏感なオピニオンな女性達に向けて発信する。

アパレルブランドとのコラボレーションについては、アディダスの方がより積極的だ。

ファッション性を重視したオリジナルスというラインではアレキサンダーワンやハイク、

パフォーマンスラインではステラマッカートニーやカラーと云ったブランド。

最近ではマウジーと組んだコラボレーションを発表した。

国内ブランドではアシックスがマッシュスポーツラボの「エミ」とのコラボレーション、

アシックスウィメン(女性向店舗)の出店強化に取り組む。

こうした各社の女性目線を意識した「アスレジャー」スタイルの発信には、

女性の社会進出と云う背景があると考えられる。男性と同じように職場で働き、仕事のストレスや運動不足の解消と

「美」への憧れも相互に作用した女性版アスレジャーをアスレディー市場と名付けてみた。

1

アスレジャー市場の概念図

「アスレジャー」の概念を別表のようにまとめてみた。

スポーツ市場を大きく3つに分類。本人自ら競技する領域を赤い半円で表記、

この領域は機能に特化したハイスペックなプロユース・ウエアやチームユニフォームやナショナルデザインと

いったそれぞれの競技に適したウエアの開発が中心となる。

こうした本格的な競技市場に対して存在するのがそれらを応援、観戦する市場だ。

青い半円でNPBの市場規模は1,400億円(2016年 朝日新聞GLOBE)、Jリーグでは937億円(2015年Jクラブ個別資料開示より)と云った感じだ。

ここ最近では広島カープの躍進と供に盛り上がった「カープ女子」に代表される広島カープの2016年のグッズ関連の売上高は53億円、

そしてリーグ優勝における経済効果は340億円と試算される程だ。

赤の競技領域に一部重なる緑の半円で描かれているのがヘルシー志向でスポーツを楽しむ領域。

健康、ダイエット、運動不足の改善などの目的を持つ領域。

その中でも競技市場とヘルシー市場が重なる部分をライトスポーツ的な要素として、その領域を「アスレジャー」と定義した。

拡張続けるネットショッピングとこれから

2016年度のBtoCにおける日本国内のEC市場規模は15兆1,358億円で、対前年比9.9%の伸び率となり、

不況続きの世の中とは別次元の成長が続く。ファッション業界に於いてもネットビジネスの存在感も増すばかりだ。

衣料品通販サイト最大手のスタートトゥディが手掛ける「ゾゾタウン」の時価総額が1兆580億円と

会社設立20年足らずで1兆円の大台を超えて同サイトのファッションモールとしての役割の大きさを印象付けた。

年々成長を続けるEC市場の大きなメリットのひとつには新ビジネスへの参入障壁の低さが挙げられるのと同時に、

難しは認知され浸透するまでに多くのコストと時間を要してしまう事。

そんな入れ替わりの激しいネット市場の中で消費者目線から見て今後も注目できそうなセグメントを4つ設け、

現時点で参加、サービス提供している企業をピックアップしてみたのが別表の通り。

2021y02m18d_093109181

誌面の関係上、一サイトずつの解説は控えるが簡単に説明していきたい。

現在一番の主要セグメントになるのはお客が商品を買うネットショッピングサイトは云うまでもない。

次に注目したいのはお客が手持ちの商品を販売する為のサイトでCtoB、CtoCといった流通の違いはあるにせよ、

供にリ・ユース市場なのが大きな特徴だ。そしてシエアリングエコノミーとも称される借りるセグメント。

ここは定額/定数を選べてマンスリーにサービスを享受するケースが多く、中には晴れの日専門のレデイス・レンタルサイトもある。

最期がサービス機能と云うセグメントにした、新たに生まれたサービスや考え方を持ったサイトでまとめてみた。

仮想試着やオンラインストア上での接客支援、洗濯代行サービス等、優れた発想を持ったコンテンツは、

近い将来、主要サイトの補完目的に買収するケースも生じる事が予想されるセグメントだ。

(2017年8月16日に執筆したものです)

 

 

オートバックスセブンの異業種からの挑戦

カー用品販売大手の(株)オートバックスセブンが車を通じたライフスタイルショップ「JACK&MARIE」をオープンさせた。1号店は今年の3月に横浜ベイクォーターの3階に、この秋にはららぽーと名古屋みなとアクルス、横浜ラウンドマークプラザ、MARK  IS 福岡ももちと、一気に3店舗をオープンして4店舗体制となった。カー用品の取り扱いを本業とするオートバックスは国内603店舗、海外41店舗とグローバル展開をし、売上高も2116億円(営業利益72億円、ともに20183月末)。業界2位のイエローハットを売上高(1378億円)でしのぐが、その業界1位の企業がなぜ今、新規参入をするのか。

主力事業からの派生型ビジネスに取り組む

オートバックスセブンの売上高の84%を占める国内事業の中でも、主力事業はカー用品販売+サービスで8割を構成している。直近の売れ筋はドライブレコーダー関連で、これは今、話題になっている「あおり運転」からの防衛心理なども影響しているのだろう。その主幹の国内事業だが、同社では改革を進めており、2017年6月に2つのPBをローンチしている。1つが『クルマを使って楽しみたい(体験価値)』からJKM、もう1つが『クルマをもっと楽しみたい(自己表現)』からGORDON MILLERを。ともにクルマを通じて新たに価値を提供しようとするもので、JKMでは主にカーアクセサリーを、GORDEN MILLERではガレージキッドを展開している。

JACK&MARIEの基本スペック

さて、「JACK&MARIE」だが、西オーストラリアのパースを舞台に、オーストラリア人男性のJACKと、日本人女性のMARIEが、こよなく愛する「Café×Nature×Car life」がキーコンセプト。アウトドアライフを楽しむ人をターゲットとして、①「パッキング」、②「積み込む」、③「移動中も妥協しない」、④「車中泊」、⑤「サイトでCaféスタイル」の“5つの心躍るシーンを提案するライフスタイルブランドとなっている。

 ショップは、これらカー用品関係のPB商品を軸にしつつ、関連商品、雑貨をうまくセレクトして1つの世界観を作り出しているのが面白い。カー用品を背景にしているというよりも、ネイティブ感漂うアウトドアな印象を持ってしまうほど。実際、店舗の前面にはセレクトされたアパレル商品を着た男女のマネキンが出迎えている。

そのアパレルもシカゴのワークウエアブランドの「ユニバーサルオーバーオール」との協業商品や、国産ワークウエアブランドの「Johnbull」を品揃え。バッグ、シューズの他に腕時計、リング、ネックレス、サングラスやビニール傘まであり、ユニークな品揃えでは持ち歩き収納型オリジナル・スリムキャビネットやポータブルBluetoothスピーカー、レトロファン(扇風機)など。オリジナルデザインのポケットティッシュケースもあるなど、なかなか洒落た小物まで取り扱っている。

クルマ自体の価値観の変化に応じる

ファッションと同様にクルマについての価値観も変わりつつある。地方では生活の足として定着している半面、都会では若者を中心としたクルマ離れも指摘されている。クルマでもサブスクリプション化は始まっている。現在のカーシェアリングについて公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団による2018年3月の調査によると、車両ステーション数は1万4941カ所(前年比16%増)、車両台数は2万9208台(同19%増)、会員数は132万794人(同22%増)と、増加傾向にある。国内の新車販売台数も年間約400万台、中古車では800万台前後と、ここ10年くらいの推移を見ても増減をくり返しながらほぼ横ばい。少子高齢化を向かえている国内市場についてオートバックスセブンも従来のクルマを中心にしたメンテナンス、装備品といったサービスの拡張には限界を感じているはず。そこで同社の強みでもあるクルマを核に、ライフスタイルにまで取り扱い品目を広げた。又、ファッション性というスパイスを効かせた事によって、新たなお客との接点を模索してみた。

カーライフを背景とした品揃え

売場面積120坪(横浜ランドマークプラザ店)ある広い店内を、探索気分で回って見るだけの豊富なバラエティ感はある。「カーライフ」を背景にした品揃えは、他社での取り扱いがあまり無いため新鮮。それでいて店の雰囲気から“クルマ感”が程よく消されていて、アウトドアな印象にまとめられている点にはセンスを感じる。食器やホームウエアまで取り揃えられているのには感心した。カーアクセサリー用品でも日用品として代用できる商品もある。洗車ブラシは、家の掃除に用具として、LA直輸入のスポンジセットは台所用品としても使えるだろう。実際、オリジナル・マルチペーパーは、台所周りの掃除用として使えた。(ただし、調理用としては使えないので注意は必要)これは、取り扱い品目をライフスタイルにまで広げたから生まれた、新たなお客との接点となる要素だ。

家賃に見合った客単価と販売数を確保できるのか?

お店の運営面から考えると、テナント賃料や人件費、展示車のリース代などを合算してみるとショップコストは決して安くない。その割に取扱商品のプライスポイントが低いのは気になる。全体感からみるとセレクトしているアパレルは逆に割高に感じてしまうだろう。新規参入店の難しいところのひとつに知名度の低さがある。それは、よく知らない店で高額商品を買うこと自体に、お客にためらいが生じてしまい兼ねないからだ。そうなると買い上げ点数を上げるか、客数を上げるしかない。新規参入店としてここは、お客との信頼関係を築いていくことを優先に考えるべきだろう。例えばもっとオートバックス客との相互乗り入れメリットなど企業規模を活かした施策があって良いかも知れない。又、商品バラエティ豊かであるということは、言い換えると在庫リスクも抱えることとなる。当然、商品によって回転率にバラツキも生じていく中で、いかに鮮度のある売り場を維持させられるのか、ストアマネージメントが求められるはずだ。

先行企業からみるビジネスの規模感を想定

サーフカルチャーを感じさせるショップとしては、(株)サザビーリーグが運営する「RonHerman」や(株)アーバンリサーチの「UR Sony Label」、(株)アダストリアの「BAYFLOW」、(株)ライトオンの「Naughty Dog」(2020年に撤退)があるが、このショップ群には価格帯がハイエンドからロウエンドまでそろっている。「JACK&MARIE」のこれら同テイストのショップとの違いのひとつにアパレル構成比の低さを武器にしたい。豊富な雑貨、用品の品揃えを特徴として独自のポジションを築いていけるのか、興味のあるところだ。

現在、横浜を中心に店舗展開しているのは良かったと思う。やはり、日本のサーフカルチャーを発信する地として横浜はベストな選択。しかも米国産を中心としたクルマ文化も盛んな土地であることを考えても良い環境なのは確かだ。

後は、将来的にどのくらいの店舗数の規模感を考えているかだ。それはプライスレンジにも関係するが、ハイエンド側から順に「RonHerman」で14店舗、「UR Sony Label」のオンリーショップで8店舗、「BAYFLOW」46店舗、「Naughty Dog」で32店舗(2020年に閉店)。

「JACK&MARIE」は、「UR Sony Label」と「BAYFLOW」の中間値くらいの価格感だろうか。しかし、思い切って品種を縛り込んで、生活雑貨中心とした店舗業態にして出店しても面白いかもしれない。そうすれば、パルグループの「salut!」(36店舗)あたりの雑貨店が競合としては浮上しそうだ。

 

オートバックスセブンの直近10年の業績推移を見ると2009年の売上高2591億円をピークに、ややシュリンクしている印象だ。海外進出もフランス、タイ、シンガポール、中国、マレーシアと5カ国に進出しているものの、苦戦しているように見える。他にディラー事業、BtoB事業、ネット事業、ドローンの販売と主幹業務以外の収益の拡大を計画中だ。

今回のチャレンジもそうした動きのひとつとして新たな事業の柱となり得るか今後の戦い方に注目していきたい。

(2018年12月20日執筆したものです)

2021年2月16日 (火)

90年代ファッションはブランド主義の復活でもある!

ヤングマーケットを筆頭にオーバーサイジンングの着こなしが増えている。朝の通勤時間にズリ下がったリュック姿を見ると思わず苦笑いをしてしまう。まるで昔の自分を観ているようだから。

そう今、ファッショントレンドは完全に90年代に向かってカジを切り始めている。

空気を読む!?個性を消した時代

*ノームコア(Normcore)と云う、偉大なる普通服!?と呼ばせてもらおう。ファッション・シーンにおいては永らく普通服がスタンダードで格好良かった。何処のブランドって訳じゃないけど、オックス生地のボタンダウンシャツに袖を通せば誰だって、3割増しに賢そうに見えたものだ。とある大学のキャンパスの風景からもデニムシャツ+チノパン、赤チェック+ジーパン姿の学生達がクラスメートと着てきた服が被ってしまった、画像がネットに流れて失笑もした。その場の空気を読めばこの格好と、完全に『個性を消した』時代だった。

双子コーデの登場!

その『個性を消した』時代の産物のひとつが双子コーデ。みんなでドレスコードを決めてお揃いのファッションで出掛けるのは、同じデザインの洋服を着る事で味わえる一体感を楽しむのであって、制服や作業服と何ら変わらない。

今、手元に90年代に発売されたファッション雑誌『Boon』があるが、もう一度この時代が来るのかと思うとニヤけずには要られない。いつの時代でもそうだが、ファッションは完全な焼き直しに(リバイバル)は成らず、必ずその時代の技術や色が加わってくるから面白い。

セレクトSHOPでは懐かしの~がオンパレード

さて、本題に入ります。それはとあるセレクトショップのトラックパンツの品揃えにビックリしたことから。ナイキ、アディダスは、まぁ分かるとしても。リーボック、レノマ、カールカナイ、FUTUR、チャンピオン、ティンバーランド、BLSって、コリャ何でもアリ!? 

この春はFILAのナイロンパーカーを店頭で随分と見かける、それも大胆な色使いの切り替えで。そしてそこには大きくブランドのロゴが入っている。一般の人からするとブランド=マーク()だから覚えやすいし、分かりやすい。その大胆なデザインがブランドの印象となって、そのままブランドの魅力になっていく。

ブランド選択の時代へ

こういった図式が増えれば増えるほど、今度はブランドが与える影響力が強まってくるし、消費者も購入・識別のひとつにはっきりと「ブランドの選択」が加わる。昨年冬のカナダグースやノースフェイス・ダウンJKの人気などが良い兆候。これから夏に向けて、懐かしのサーフブランドやTシャツ肌着ブランドのマークやロゴをもっと目にするかも。

そして大衆的で普通のファッションから、個性をアピールするのが格好良い時代が訪れる。

そのきっかけになる年かもしれない。

 

*ノームコアnormal hardcoreの造語で究極の普通を意味したファッションスタイルを指す。ニューヨークが発信源とも、スティーブジョブス氏の黒のタートルネックにジーンズ姿がアイコンとして紹介されることがある。

(2018年3月14日に執筆したものです)

 

 

映画;シャネルからファッション史を学んでみる

男性にはあまり縁のないブランドではあるが、世の女性達にとって憧れの高級ブランド『CHANEL(シャネル)について取り上げてみたい。1910年創業のシャネルは、ココ・シャネルがパリ1区カンボン通り21番地に「シャネル・モード」という名で帽子専門店を開店したのが始まり。先ず、このココ・シャネルという名前自体本名ではなく「ココ」とは、愛称であって本名はガブリエル・シャネル。エルメスやルイ・ヴィトンと云った高級ブランドは王侯貴族や特権階級の人達からのニーズによって育まれたのと違って、シャネルはそう云った庇護を全く受けずに生まれ、結果的にそういった人達にまで愛されるブランドに育っていったのが、他のラグジュアリーブランドとは一線を画したブランドだろう。

又、デザイナーのココ・シャネルは孤児院で生まれ庶民階級に属し、デザイン、縫製、ビジネスに付いても全くの素人。それでも新しい「美しい女性像」を追い求めてこだわり続けた。有名なエピソードの一つに、首から断ちバサミをブラ下げて、気に入らない箇所はバシバシ切ったとか。又、活躍期に第二次世界大戦中のドイツ占領下でのパリや、連合国によって開放されたパリと、激動した世情も様々な形でシャネルに影響を及ぼす事になった。1939年に一旦、引退するも1954年に見事カムバックを果たす。恋多き中、生涯独身を貫いた生き様は正に映画のような一生!!と。

思いきや、何とシャネルを題にした映画は4本もある。その4本とシャネルが衣装協力など含めて関わった作品3本を、一覧表にまとめてみました。創業デザイナーしかり、現役デザイナーも大御所カール・ラーガーフェルドですから。まぁ、色んな意味で画になるラグジュアリーブランドなのでしょう。

__20210216112901

では、最期にシャネルがレディスファッション界に影響を与えた6つのレジェンドを紹介します。

:ニット素材(ジャージ)のスーツ

:パジャマルック(女性のパンツスーツ)

:シャネルNo.5香水(様々な花の原料に化学合成品を加え大量生産を可能にした)

:リトルブラックドレス(カジュアルにもフォーマルにも装える)

:ハンドバッグ2.55(クラッチタイプのバッグにチェーンストラップを付けて女性の両手を自由にした)

:コスチュームジュエリー(貴石だけじゃなくイミテーションも組み合わせたデザイン)

今では何も珍しくない出来事に思えても当時は、当たり前の様に考えられていた価値観を壊していったのでしょう。特にリトルブラックドレスはシンプルなデザインだったからこそ、コピー化が可能になり、誰でもシャネル風のリトルブラックドレスを買えるようにもなったそうだ。

コピーされることは賞賛と愛をうけとること

と、当のシャネルは自身の商品コピーについて意に介さなかったらしい。勿論、発言当時の社会情勢や倫理観は現在と違うので一概な評価は控えたいが、私は感服した。

 ファッションと階級社会の関係は、歴史を振り返るに従って濃厚な関係が築かれてきた。

それは洋の東西かかわりなく、種別、識別、権力、共通理念とファッションが人類に与えてきた役割は、今では想像出来ないほどに大きかった。そうした旧時代をブレークスルーした気鋭のデザイナーとして心に留めておきたい。皆さんもこの機会に是非、劇場、アマゾンプライム、ネットフリックスなどの最新デバイス等でシャネルについて触れてみてください。新しい価値観のファッションが、数多くの女性達の働き方や生活を変えていった、時代のパワーを感じます。そして今日、我々も新たなテクノロジーやアイディア、研ぎ澄まされたセンスによって、価値観を変えてしまえるくらいのファッションを作りたい!!

(2018年5月9日に執筆したものです)

 

 

 

オマージュが紡ぐファッションのクリエイトについて

世の中、ニセ物があるという事は当然本物もある。食品の世界では第二次世界大戦が始まって以降、醤油の代わりに代用醤油が。砂糖の代わりにサッカリンやズルチンといった人口甘味料。日本酒の代わりに三増酒、焼酎の代わりにカストリが造られた時代があった。その当時の代用は必要に迫られて生まれたもので、原材料が手に入らないから仕方ない。それは貧困の時代を支える貴重な食料となった。又、精肉代わりに食べられたホルモンはその後、市民権を得て今日では立派な本物料理に格上げされた例さえある。

ブート品の摘発

警視庁生活経済課などは5日までに、グッチやシャネルといった高級ブランドのロゴを無断使用した「ブート品」と呼ばれる古着を販売目的で所持したとして、商標法違反容疑で衣料店経営の男女2人を逮捕した。同課によると、ブート品の摘発は全国初とみられる。逮捕容疑は池袋、原宿等の複数の店鋪で、グッチやシャネルのロゴを無断使用したTシャツやトレーナーなどを販売目的で所持した疑い。「ブート」とは「密造、違法の」などの意味を持つ「ブートレッグ(bootleg)」の略語。非正規ルートとして流通した物や、海賊版等も含まれる。私も90年代頃だったか好きな有名バンドのスタジオデモの音源が録音されたCDを「ブート盤」として購入して聞いていた。  

本家が認めたブート品

 実は今、ファッショントレンドとしてこの「ブート」が注目され始めている。昨年発表されたGucciのコレクションの中にDapper Dan(1982年にハーレムで偽Gucciや偽Louis Vuittonを売っていた有名店。1992年に訴訟が起きて閉店)のデザインに酷似した商品が、発覚。Gucciのアートディレクターも公に認め「Dapper Danへのオマージュ」と云ったコメントを残している。又、SupremeNIKESBラインで出したジャケットの元ネタにDapper Danが「ブート」デザインしたものが使われていたりする。「ブート」デザインを本家がオマージュする、そんな逆転の現象が起きているのだ。

日本での商標権、意匠権、著作権と現状について

日本のファッションロー(fashion law)の考え方には、ブランドを守る商標法、デザインを守る意匠法、著作物を守る著作権法などが含まれる。特に日本では「実用品は著作権では保護しない」という原則があって、ファッションショーの中でモデルが身につけたコーディネイトは著作権にあたらないとの判決も下っている。では、なぜ実用品のデザインは著作権では保護されないのかというと、意匠権という別の権利で守る仕組みがあるからだ。しかし、この意匠権は出願から登録までに7カ月を要し登録、維持費もかかる。自動車や電化製品といったライフサイクルの長い消費財ならまだしも、シーズン単位で生まれ変わるファッションに関して意匠権は使いにくいのが現状だ。

 もはや、ネット社会が浸透した現代では世界中のランウェイやコレクションの情報を、世界中の誰もが簡単に手に入れられるようになってしまった。昔は、ランウェイやシーズンコレクションを行うブランドと、それらのデザインをコピーして安価に供給するブランドはサンチェ(Sentier)ブランドと呼ばれてバカにしていた文化もあったようだ。それがいつの間にやらファストファッションともてはやされ、H&Mでもショーを開催したり、一流デザイナーとコラボレーションしたりして、両者の境界線はいつの間にか随分と薄まりつつあるのかも知れない。

 

 完コピによって、元の製作者の労力や知的財産が侵害されるのは許されないと思うのだが、バンドワゴン効果によってトレンドやブームが作り出されるのもファッション産業。「本物とニセ物」。断じにくい世界がこの業界の特徴のひとつでもある。

(2018年7月12日に執筆したものです)

 

 

 

 

ABCマートがチャレンジする新たな波

 靴専門チェーン店のABCマートが好調のようだ。2018311月までの連結決算で累計売上高1961億円(前年同期比4.0%)、営業利益337億円(前年同期比1.7%)と同期間として3年ぶりに最高益を更新。20192月期末には創業40周年の記念配当40円を実施、普通配当130円と合わせて年間配当は170円と大盤振る舞いをする。好調要因のひとつとして挙げられているのは、「アスレジャー」(街にも着ていけるようなスポーツスタイル)の流行を追い風に、主力のスニーカーが販売好調だったこと。そして未だ取扱量、売上高構成比は低いものの、アパレルが前年同期比で2ケタ増の高い伸びを記録したことによる。

片やスポーツカテゴリー大手のアルペンでは、年明け早々に4565歳未満の社員を対象に300名規模の希望退職者を募るといった状況もある。同じように「スポーツ」をキーワードにカテゴリー総合取り扱い大手のアルペンと、シューズ専門店として成長してきたABCマートとのこの差は何だろうか。今回は好調ABCマートの最新業態店の取組みや、克服すべき課題について考えてみたい。

ABCマート・グランドステージ銀座店のリニューアル

 ABCマート・グランドステージは従来の品揃えから高価格帯の靴やアパレルを取り扱う大型店で全国に15店舗を展開している。その中でも昨年の10月にリニューアルオープンした銀座店は旗艦店としての位置づけだ。銀座2丁目に地上3階建てで内装デザインを、米国シアトルを拠点とした設計事務所の協力も得た上質な空間造りとなっている。出店場所自体、海外旅行者のインバウンド需要も期待できるし、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックの競技場や選手村・各国のメディア拠点が集中する東京ベイエリアに近いことも出店意図のひとつと考えられる。

1階は、最新スニーカーで片面をナイキ、もう片方をアディダスと2大NBを中心とした品揃え。アスレジャースタイルを全身マネキンでアピールして、子供専用コーナーも設置した。2階では、その他のスニーカーに加えて直輸入したビジネスシューズを展開している。3階は関連会社でもあるレザーシューズ&リペア専門店「STUMP TOWN」が出店。「Danner」や「WHITE’S BOOTS」といったアメリカのブランドを中心とした20万円を超えるハンドメイドブーツなどを取り扱う。建物全体を見渡してみると、ややカオスとも思える世界観だが、フロア単位・コーナーブロックで区切られているため、大きな違和感は無かった。

好立地で集客が実る

この銀座店の活況振りは立地の良さがあげられるだろう。外国人観光客以外でも銀座には幅広い客層を呼び込む素地がある。若いファミリー層やその上の大人世代に「アスレジャー」の世界観を打ち出すには、店舗の広さも含め伝わりやすかったと思われる。又、それぞれNBブランド単位で際立たせたやり方は、ビギナーを含めた幅広い客層へのインパクトには充分な迫力があった。

ABC以外の業態店では苦戦

 銀座店のオープンに際し野口実代表取締役社長は「マーケットのカジュアル化とともにスニーカーやデニム、スウエットなどのカジュアルさに価値を見出して投資するマーケットの頂点で我々は新たなカジュアルの波を作っていきたい」との要旨の発言があった。

しかし、この新たなカジュアルの波作りは試行錯誤しているように見える。それは2015年に立ち上げた「CALIFORNIA・DEPT」、「BILLY’S」の両店舗とも、未だ道途中といった印象を受けるためだ。「CALIFORNIA・DEPT」は米国西海岸のライフスタイルをコンセプトにライセンスブランドのVANSを中心に人気ブランドとのコラボレーションやファッション誌への掲載で集客を図っているものの、認知、ストアロイヤリティの浸透には、未だ時間が掛かりそうに感じる。又、「BILLY’S」の方は高感度なスニーカー・セレクトショップとの位置づけだが、こちらは株式会社テクストカンパニーが運営するatmosやkineticsに押されてしまっている印象。

急成長株として注目のテクストカンパニー

このテクストカンパニーは、97年設立の高感度スニーカーセレクト専門店。現在、国内38店舗、海外4店舗で売上高も100億円に届きそうな勢いのある注目店だ。特徴のひとつには坪効率の高いビジネスモデルで、売り場面積が90~120㎡クラスの店舗もあって日販100万円を超える店舗もある。ECの売上構成比は35%と無店舗による売上構成比も高い。コラボレーションを始めストア別注、拘ったセレクションに定評があって海外ツアー客からの人気もある。その背景にはスニーカー・オタク的に「スニーカー愛」の高いスタッフと、カリスマ性のあるオーナーとのコンビネーションが良い回転軸を生み出しているのだろう。特に池袋、新宿、渋谷、原宿といったエリアでは、高感度な商品を買い求めに来る若者が多いエリア。こうしたトレンド発信地では、しっかりとしたストア・ドメインを確立していかないと、オピニオン・リーダーやインフルエンサー達から支持を集めるのは難しい。「高感度」は自らの発信というより顧客に認められて初めて成立するビジネスなだけに、人材とノウハウが必要なのだ。

ライトオンとのコラボレーション店舗

他に、新たな取組として注目したいのは、ジーンズカジュアル大手のライトオンとのコラボレーション店舗。2017年に富山と岐阜にそれぞれ1店舗ずつ出店、双方の強みを活かしたコラボ店舗は、服と靴を一度に揃えられる利便性を特徴としたタッグ。又、人口減少、流出問題を抱える地方に向けて、運営、出店コストを軽減させるやり方として取り組んでいる。従来のカテゴリー枠を超えて、2社共同で運営するスタイルがひとつのロールモデルとして広がっていくのか気になるところだ。

さらに拡大しそうなスニーカー市場

ファッション・トレンドからみても、スニーカーブームは未だ当分続くだろう。それは「世の中のカジュアル化」も背景としてある。休日の外出、レジャー、旅行、スポーツ、ビジネスといった幅広いライフスタイルシーンにまで、履き心地が良いというスニーカーのエッセンスは浸透していく。日本のスニーカー市場はさらに新規参入、拡大、選別・淘汰が、繰り返されていくだろう。その中で優良靴チェーン店としてABCマートの次のビジネス・ステップの成否も合わせて注目していきたい。

(2019年1月24日に執筆したものです)

 

 

【銀座オトナ女子着用実態調査】注目のワンピの着用率は1割!

先月の春分の日の銀座で撮影したストリートスナップのリポート第二弾。サンプル数100人(30代、40代)を目安に105人撮った。今回のリポートは注目トレンド、スタイリング、ボトムスにフォーカスしてお届けしたい。

さらに勢いを増しそうな「柄者」

今まで無地ボトム一辺倒だったレディスボトム市場もチェック柄のスカートから、花やレオパードといった総柄ボトムの着用が目立ってきた。特に花柄に関しては、大人エレガンス、甘めフェミニンとテイスト横断的に広がりつつある。それぞれのテイストに合った柄の大きさや密度、素材選定が重要で、これから夏に向けてさらに増えていきそうな勢いを感じる。

3_1

注目はネオ・レオパード

3年前にZOZOTOWNが調べた調査結果によれば、ヒョウ柄商品の購入額が一番高かった県はなんと埼玉県。大阪じゃなかったの?なんて意外な結果も思い出します。(大阪は2位でした)

そして近ごろ出没しているのがレオパード柄、旧態依然のヒョウ柄と何が違うのかといえば、あまりアニマル臭のしないスマートなデザインが特徴。大きさや色も含めて、変形ドッド(水玉)くらいの感覚で着こなしていくのが新しい。

いずれにしても個性的なデザインとして世には「花好き」、「アニマル好き」も要れば、「~嫌い」も同様に存在する。そのどちらでもない人も含めて「着てみても良いかな!?」、「買ってみようかしら」と、思わせるほどに盛り上がるのか注目したい。

 

銀座大人スニーカー女子は28人

空前絶後のスニーカーブームである。休日の銀座へお出かけシーンでもスニーカー着用率は3割弱だった。写真で特集したようにフェミニンアイテムのスカート、ワンピにもスニーカーを合わせるのも、90年代トレンドのリバイバルだ。そして今のオトナ女子の気分はスニーカーから得られる履き心地の良さや開放感を楽しんでいるのである。

3_2

3_3

春先に映える純白ホワイト

そこで、今回スニーカーを履いていた28人を一部抜粋、まとめてみた。スニーカーとひと言でいえども年齢や着用シーンで選ばれるデザインも異なる。銀座オトナ女子の一番人気は、レザータイプの上質感のあるスニーカー。着合わせやすさとキレイ目な印象は銀座街と好相性なのだろう。カジュアルな印象のキャンバス素材ではクロの方が4人と人気。  これも場所、対象年齢による特徴なのかアクティビティなスニーカーとは反対の結果に終わった。最期にヤングトレンドの厚底スニーカーは2人とレオパード柄程度の出現人数に終わった。

3_

ロングスカートが1番人気

今回、ボトムで一番着用者が多かったのがスカート。スカート丈は短い順からミニ丈=6、ニー丈(膝)=12、ミモレ丈(ふくろはぎ)=12、ロング丈=15人と長い丈のトレンドはこの春も継続。写真2位のような春を感じさせるボトムの定番はホワイトジーンズ。今年はジーンズ以外に、スカートやアウターでもホワイトが人気。バスクデザインのニットにスニーカーを合わせるあたりも今年らしい着こなし。写真3位のチェックのシャツアウターを羽織ったカジュアルなスタイリングも、ネイビーボトムでキチンと感で整えるのが大人カジュアルの基本。銀座らしい着こなしに好感が持てる。

ワンピース着用率の今後

冒頭で触れたファッショントレンドの着用人数は105人中4~2人で着用率にしても2~4%くらいの話。そうした中で10.5%の着用率は立派なヒット商品といって良い数字だろう。キレイ目なよそ行きからシャツ、Tシャツ、ドッキングも含めると、ファッションテイスト横断的な着こなしとして広がりつつある。しかし、これから気温が上昇していく中で、ボトム一体型のワンピースはもたつき感から敬遠されがち。代わって、ロングシャツやTシャツが台頭しそうな平成最後の春の銀座だった。

(2019年4月10日に執筆したものです)

 

 

 

【最新ファッション】大人女子の人気春アウターを調べた!

 春から初夏へ。今年のレディスファッション売場では華やかな色、柄、素材の商品が並んでいる。

店頭では生活者の1歩先あるいは2歩先くらいのトレンドを示してアピールする必要があるが、(ファッション業界に携わる多くは洋服好き集団といえども)ターゲットとしたい生活者のファッション感度を推し量るのは意外に難しいものだ。

特に難しいのが、生活者の1歩先の歩幅を見極めること。そこで生活者は今、どのようなスタイリングをしてお出掛けしているのか、サンプル数100人(30代、40代)を目安としてストリートスナップを撮影。現在のリアルトレンドをまとめた。

_

堂々の1位!春一番が吹いたら大人トレンチ

アウター着用で1番多かったのは春アウター定番のトレンチコート。全体でも3割に迫るほどの勢いがあった。この定番アウターがここまで伸びた理由は、サイジングの変化による買い換え層がプラスされたことも影響している(丈長でオーバーサイジングがトレンド)。

そして急激な気温上昇から、冬仕様のコートを脱いでニットトップスで歩いた人が2番目に多かった。

同率3位は2アイテム、コーディガンは“気持ちは春、体は冬”を体現すように半数は冬素材の春カラーだった。近年女性でも本格仕様のライダース愛好者まで生まれるライダースジャケットも3位につけた。

半数以上がコートを着用

全体をコートでくくると63人と半数以上がコートの着用という結果。

3位以下を見てもコートアイテムがズラリと並ぶ。上からノーカラー、チェスター、ステンカラー、モッズコートの人気順。ロング丈アウターのトレンド感は強く、ニーレングス(ヒザ)までをミドル、それ以上をロング丈としてカウントした場合、ミドル/ロングで31/27人。それぞれ半々くらいの比率だったのは、銀座という場所も大きく影響していると考えられる。

その他15人は2人以下の着用アイテムで、主な内訳はダウンベスト、トレーナー、Gジャン、パーカー、テーラードJK、ブルゾン、長袖ポロシャツなど計12アイテムが並んだ。

「ベージュ+ホワイト」で56人

アウターカラーを見ていくとベージュが1番多い、そのうち、トレンチコートが26人と半数以上を占めた。残りもノーカラーコートやモッズコート、ステンカラーコートも合わせてベージュ系コートで、軽やかなスプリングコートとしての印象が強かった。

2番目はホワイトでアウターカラーとしては珍しい色がランクイン。ホワイトの中で1番多かった商品はコーディガンで3人、他は11アイテムに分散している。

3番目のブラックではライダースJKが7人、ニット&セーターが3人で大方を占める。4番目のネイビーはホワイト同様に偏ったアイテムはなくカーディガン2人を筆頭に7アイテムが並んだ。

全体で見ても「ベージュ+ホワイト」が56人と半数以上なのは、柔らかく軽装感のある色のアウターが人気だということ。トレンドの丈長でオーバーサイジングと面積の広いコートでも、見た目の軽さが重視されていることが分かった。

春コートのトレンド観測にぴったりの日だった

撮影をした今年の春分の日は、日本海側に張り出した低気圧の影響から都内では朝に雨が降った。午前中は曇りで気温も低くめで昼前あたりから日が出て気温も急上昇。最高気温は22.3℃を記録し、暖かな南風ではあるものの風速9mで疾風に分類されるほどの強風が吹いた。それは春コートのトレンドを観測するには好条件だったことも最後に付け加えておきたい。

(2019年3月29日に執筆したものです)

 

 

 

 

アパレルのショッパーは正か否か?

 私たちは度重なる異常気象や自然災害を目にするたびに、地球環境について考えさせられる。来月、大阪で開かれる20カ国、地域首脳会議(G20)でも廃プラの海洋汚染対策について話し合われる予定だ。使い捨てプラステックストローの紙製化やペットボトルの再生システの確立など連日ニュースとして取り上げられている。そうした流れの中、アパレルショップで当たり前のように使われているショッピングバッグ(後述はショッパーと称する)について、今後どうあるべきかを考察してみた。

ファッション・アイコンとしての役割

業界では、永らくブランドビジネス広告手段の一つとしてオリジナルショッパーが使われてきた。古くはVANの紙袋を小脇に抱えて闊歩する姿や、80年代のDCブランドブームでもオリジナルショッパーはファッション・アイコンとしての役割を担ってきた。さらにハイブランドのショッパーは二次流通や記念としてとっておく人も居るだろうし、高級百貨店のショッパーは今でも、ちょっとした御礼を渡す時や個人間の貸借に洒落た包装用紙として活躍する場面があるだろう。そうした利用価値の認められたショッパー達は、大なり小なりメルカリなどで売買されている。

では、ポピュラーブランドではどうか。購入後に持ち歩く姿を他者から視認されることによってブランド広告的な価値は等しくある。今やブランドサインとショッパーデザインを共有化させブランド認知を深めるようなやり方は、半ば常識として根付いているのが現状だ。

グローバル・プレイヤー達の先行例

そうした中、グローバル展開企業の動きは敏感だ。H&Mは昨年12月から従来のプラスチック製ショッパーを紙製にして、アクセサリー用最小サイズを除くすべてのショッパーを一律120円で有料化した。ZARAもプラスチック製ショッパーから紙製に切り替える計画で、ユニクロはレジ袋以外に商品包装材も全面刷新する予定。無印良品の銀座店では、ほとんどの商品が紙袋に入れられて、寝具や大型の商品についてはポリエステル製の手提げ袋が1枚150円で有料化されている。

このショッパーの有料化はマイバックの持ち込みを奨励する意味合いが強いようで、H&Mでは有料化による余剰金(紙製バッグの製造コストを除いた分)はすべてWWF(世界自然保護基金)ジャパンへ寄付。無印良品では銀座店に限って先の有料手提げ袋を持ち込めば150円キャッシュバックして引き取るとのこと。ショッパーの紙製化は、グローバル展開企業にとって避けて通れない課題といえそうだ。

ハイブランドの取組

ハイブランドについてもエシカル(論理、道徳上の正しさ)やサステイナブル(持続可能)な物作りなどをテーマとして取組むケースが増えている。例えばグッチの加入によって一躍話題にのぼった「ファーフリーアライアンス(Fur Free Alliance)」や、ヴィヴィアンウエストウッドによる「エシカル・ファッションアフリカ」など。枚挙にいとまがないほど多くのブランドや企業が様々な方向性や切り口で「地球環境」、「人権問題」、「動物愛護」などと向き合っている。やはり、インターネットから多くの情報が得られやすくなったことによって取り組みのハードルが下がったことが考えられる。反面、ドルチェ&ガッバーナのように動画広告をきっかけに不買運動が起きてしまったケースや、プラダのウィンドウディスプレイが人種差別的だと批判を浴びて謝罪に追い込まれてしまうこともある。

キーワードはESG,CSR,SDGs

環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字をとったESGは企業が長期的な成長のために必要な観点として注目されている事も影響している。特に上場している大企業になれば、こうしたESGCSR(企業の社会的責任)SDGs(持続可能な開発目標)への積極的な取組が、今や企業ブランドの価値向上には欠かせなくなっているのも事実だ。

ヨーロッパの4R

環境先進国の多いヨーロッパでは、ゴミを減らすために4Rという原則がある。Refuse(リフューズ)やめる、Reduce(リデュース)減らす、Reuse(リユース)再使用、Recycle(リサイクル)再生。RefuseReduceReuse3つの「R」でまずゴミを徹底的に減らし、物を捨てる行為の最後手段としてRecycleを活用するといった考えのようだ。

レジ袋も有料化の流れに

そもそも小売店のショッパー削減は世界的な流れにある。国連環境計画(UNEP)は、2025年までにプラスチック製のレジ袋やストロー、食器の使用をやめた上に最終的に使い捨てプラスチックの全廃を目指す戦略を、各国がつくるという閣僚宣言が出された。来年3月の第4回国連環境総会(UNEA4)による採択を目指しているようだ。日本でも環境省の「プラスチック資源循環戦略案」で、レジ袋やペットボトルなどの使い捨てプラスチックの排出量を2030年までに25%削減を決定としたものがあって、早ければ来年辺りから全国の小売店、コンビニエンスストアでのレジ袋有料化が義務付けされる公算も出てきた。

これからのショッパーのあるべき姿

ここまでの流れからみてみると、アパレルのショッパーの紙製化と有料によるマイバッグ(エコバッグ)の利用促進が、これからのアパレルショッパーの辿る道となるだろう。しかし、安価なショッパーは今でもゴミの分別や簡易袋として大いに役立っている現実もある。そうした日常に変化を起こすには、継続的な取組の発信と時間をかけながら少しずつ理解を深めていく必要がありそうだ。

(2019年5月31日に執筆したものです)

 

アパレル業界「女性の働きやすい会社」とは

世界経済フォーラム(WEF)は世界153カ国を対象としたジェンダー不平等状況を分析した『世界ジェンダーギャップ報告書』を発表している。

ジェンダー格差が少ない1位から5位までは、北欧のアイスランド、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、南米のニカラグア。

日本はというと前回の110位から121位と順位を下げ、過去最低となった。

同じアジア先進国では中国106位、韓国でも108位とそれぞれ日本より上位にきている。

なぜ、日本のジェンダー格差は他の国と比べ、順位が低いのか。

今回はアパレル業界をイメージしつつ「女性の働きやすさ」について考察と提案をしてみたい。

問題は「古い企業体質と経営者の意識」

初めに女性の就業状況について。

「就業率の推移」の図からは、女性の社会進出の状況が分かる。

今から34年前の昭和61年の女性就業率は57.1%2544歳)、それが2016年には72.7%と右肩上がりと上昇してきた。

バブル崩壊後のデフレ経済下でダブルインカム(共働き)世帯が、新たなスタンダードモデルとして定着してきたが、同時に女性の一時離職に対する対応については長らく問題視されてきた。

右の図のいわゆる「M字カーブ」(女性が出産して離職、子育てを担うことから、大きく従業率を下げる時に生まれるカーブをM字と形容)の問題で、まだ十分とはいえないが、保育施設や学童といった支援施設の増加で「M字」は緩やかになりつつある。

つまり、社会全体で女性の働きやすさに取り組みつつあるわけだが、先のジェンダーギャップ調査で日本が最下位グループに位置付けられている理由は何か?

それは、ひと言でいえば、『古い企業体質と経営者の意識の問題』が大きいと思う。

明治以降から続く家父長制1からくる古き習慣の名残か。企業で長らく役員、管理職を置いた「男性社会の組織」を作ってきたことも影響しているように感じる。

1 家族と家族員に対する統率権が男性たる家父長に集中している家族の形態。日本の明治民法において、家長権は戸主権として法的に保証されていた。

例えば、これまで肉体労働の現場では男性用制服を身にまとった男性は、女性には到底出せない輸送力や打開力を発揮してきた。

これら男性を率いるのも通常、中高年の男性たち。その性格は基本的にホモソーシャル2だった。

2ホモソーシャル(Homosocial)とは、ホモフォビア(同性愛嫌悪)とミソジニー(女性嫌悪)を基本的な特徴とする男性同士の強い連帯関係のこと。体育会系などで顕著に見られる男同士の緊密な絆で、ミソジニーあるいはホモフォビアが伴う。

女性たちに制服を着せたのも基本的にはその中高年男性たち。女性用制服が服従的イメージに落ち着いたのはそのためで、女性にはお茶出しやコップの洗浄、掃除といった家事に順ずるような雑務が仕事としてあてがわれることになる。

そもそも女性にとって必然性はないスカートがなぜ、制服では定番なのか。中高生はともかく成人女性に拘束感の強いミニスカートさえ着用させる理由はどこにあるのだろう。

雑務についても、寿退社が前提となった過去の価値観の名残と思われるが、労働生産人口の減少化とともに女性活躍を望みながら、女性がこうしたことを担当させられるのは本当におかしい。

女性が重要な企画に関わらない組織はナンセンス

現代は全体消費のうち8割が女性の意思決定によるといわれている。この時代に、女性就業者が重要な企画、営業決定権に関わらない組織があるとすれば、それは何ともナンセンスな話だ。

特にレディスファッションを筆頭に、女性をターゲットとした消費財では男性が関与できる部分は限られてくる(男性は「女性ゴコロ」をいくら頭で理解しようとしても実装や使用経験から産まれた気付きは想像でしか入手できない)。

女性ゴコロの代弁は女性から聞き、男性立案の企画でも善し悪しは女性が判別すべきだ。

では、『女性ターゲットの消費材ビジネスは全て女性だけで完結すべきか』

と、いうと、これも違うと思う。

カルディコーヒーファーム(コーヒーと輸入食品の専門店)の店舗は、大半が女性で運営しているそうで、女性ならではの気付きやココロ配りもあり、同店のウェルカムコーヒー(店頭で配られる無料コーヒー)は人気の集客策の一つとなっている。

しかし、現場の声を聞くと、商品移動を含めた力仕事や業務フロー作りといった男性向きの仕事もあり、女性だけの環境が良いとは限らないとの声も聞こえてくる。

つまり、『女性ターゲットだから女性、男性ターゲットは男性なんてくくり方を考えること自体が遅れている』わけだ。

特にファッションについては男性向け商品でも女性が選んで購入する代理購買だってあるし、同伴する女性パートナーの意見を聞いて商品購入を決めるケースも多い。

となると、アパレル業界では、男女それぞれの良さと特徴を考えながらジェンダーミックスさせて、グループ構成していくのが好ましい姿だといえる。

アパレル企業では、商品部や企画開発といった組織が物作りの中枢を担い、そこからターゲット単位に「ジェンダー」「エイジ」「商品カテゴリー」といったグループに組織は枝分かれていく。

女性ターゲットのグループは、女性主体でも構わないが、論点整理や取りまとめ、案件に向けての解決までの工程管理は、男性の方が向いている場合がある。

 男性ターゲットのグループでも女性目線や意見を積極的に取り入れるべきで、アドバイザーとして女性を数人加えることを勧めたい。

もちろん、男女の適性を超えたスキルを備えた人もいるので、性差を超えた「個」に焦点を当てることも必要だろうし、どちらかのジェンダーに偏った組織では、古い価値観のまま突き進み、多様化された価値観とのギャップを見落としてしまいかねない。

躍進するアパレル企業にとって必要なのは、『柔軟さとフラットな感覚も持ちながら男女のバランスが取れているところ』。

そして、女性がもっと自分の仕事に魅力を感じ、誇りを持って取り組める環境が提供できている企業が、令和時代にも輝いていられるといえるだろう。

(2020年3月9日に執筆したものです)

 

 

「コンテンツ・ビジネス」はアパレル小売りも救う!

放送、映画、音楽、漫画、アニメ、ゲームも含めた知的生産物を取り扱うことを「コンテンツ・ビジネス」と呼ぶ。店頭ではさまざまなコンテンツを取り入れたプリントTシャツの品揃えが華盛りだ。定番キャラクーに加え、ロードショーに合わせたプロモーション、企業コラボ、周年企画とアパレル小売りにとってコンテンツ・ビジネスへの取り組みは年々重要度を増しているように感じる。

 

半袖Tシャツの着用が急増している!

Photo_20210216072501

ココベイ(株)が毎月行っている定点観測資料をまとめたグラフに注目してほしい。この表はヤングメンズ(推定年齢20代前半~30代)を対象に、渋谷から原宿の中間くらいの地点で着用実態調査をまとめたもの。各年度の68月にかけて夏のスタイリングを計9001000人分がサンプル数となる。

目を見張るべきは「半袖Tシャツの着用率の高さ」。特に3年前の2016年ごろからの急速な伸びは、トレンド発信者としての役割を担っている若者市場を中心に夏のTシャツスタイルが急激に増えていることを示している。2016年はお洒落な若者を中心に原宿エリアの古着店等の人気が再燃し始めた頃で、大阪の「サントニブンノイチ」が原宿にオープンしたり、タレントのりゅうちぇるの個性的なファッションが注目されたりした頃にあたる。 

もう1つ、注目したいのが「プリントTシャツの着用率」。ファッショントレンドの変化パターンの1つに「無地→色→柄」の順でトレンド変化が生まれるケースがある。そのパターンに従えば11年前の水準にまで至っていないものの、半袖Tシャツ全体の着用率上昇とともに、これからのプリントTシャツの伸長度に期待がかかるのも必然的と考えられる。

だから、Tシャツとの親和性が高いコンテンツ・ビジネスが重要だと思っているのだ。

 

日本発のディズニーの新キャラクターも登場

日本のコンテンツ・ビジネス史の中で、大成したモデルケースの1つに東京ディズニーランドが挙げられる。1983年の開園から今日まで来園者数を順調に伸ばし続け、2001年のディズニーシー開園以降、その数は2施設合わせて年間で3200万人を数えるほど。そんなコンテンツ・ビジネスの老舗・東京ディズニーランドで今年、完売御礼のキャラクター商品が産まれた。

その名は『うさピヨ』。春先に行われるイースターイベントに関連して作られた新キャラクターだ。この新キャラクターは米国ではなく日本発のディズニーキャラクターとなる。老舗コンテンツ・ビジネス企業でさえ、イベントを盛り上げる起爆剤の1つとして新キャラクターを開発したわけだが、これは「新規性」とディズニーランド内でしか販売されない「希少性」が組み合わされたケースといえる。

 

ユニクロUT『KAWS』では争奪戦が繰り広げられた

先日、テレビのワイドショーも賑わしたユニクロUTの『KAWS』コラボTシャツ。中国本土で繰り広げられた激しい争奪戦の模様や日本の銀座店にオープン前に列を作っている人たちの様子がテレビでも取り上げられていた。日本国内では中国のようなパニックは見られなかったが、それでもインバウンド客が多く訪れる店舗では発売当日か2日目でこのTシャツが完売した店舗が多数出たようだ。

ユニクロ側もここまでの反響は想定していなかったようで、全国のユニクロ店舗で展開している『KAWS』商品を主要店舗に集結させて再販して完売させるよう。中国人を中心にここまで人気が集まった背景には『KAWS』とのコラボレーションが今シーズン限りといった「希少性」が刺激されたと考えられる。

『愛は地球を救う』のチャリティTシャツは今年も人気

そして、イオン。毎年取り組んでいる日本テレビ主催のチャリティ番組『愛は地球を救う』のチャリティTシャツの販売をしている。今年のチャリティTシャツのデザインを手掛けたのは嵐の大野智さん。前評判も上々で発売当日の615日から売り切れ店舗が続出し、オンラインストアでも完売状態。売り切れ店舗では、次回入荷予定日(62728日)を告知して対応している。収益金はチャリティにまわるので喜ばしいことではあるが、衣料品不振の続くイオンにとってチャリティイベントであってもTシャツ目当てに来店が見込まれる訳で、こうした嗜好属性のはっきりとしたお客に向けた品揃えを、逃さず提案すべきだろう。

しまむらはターゲットを絞った取り組みを進める

しまむらもコンテンツ商品への取り組みは積極的。周年イベントでは『ももクロ』や『YouTuber』とのコラボレーション、そして世界に3億人のユーザー数を誇るバトルロイヤルゲームの『荒野行動』をはじめとした『艦これ』『アイドルマスター』『刀剣乱舞』などだ。その中でも根強い人気があるのは『新日本プロレス』コラボで、他社での取り扱いの少なさも影響しているのかもしれない。

なかなかモノが売れない時代にあって、こうしたターゲットを絞ったアプローチは、ある程度の売上げが見込めるものの、ファン以外からは見向きもされないことから需要分母が限定的というデメリットもある。そのため、一時的な特需を取り込むだけではなく、継続性のあるファン作りを目指すような取り組みが必要になる。

 

広島東洋カープのグッズは球団経営の柱になった

面白いところでは、ファンの心酔度が高いことで有名な広島東洋カープ。特にグッズの品揃えのバリエーションは他球団と比較にならないほどに充実している。2019年カタログを見ても人気キャラクターとのコラボレーションやアパレルブランドとのコラボレーション、往年の選手をあしらった商品やグッズデザインに特徴を持たせたシリーズなど実に豊富。こうしたカープグッズの売上げは約54億円に上り、今や入場収入と並ぶ球団経営の柱となっているそうだ。

親会社を持たない市民球団として創設された経緯もあって、昔から地元からの熱烈な支援はあった。それが2013年に初めてクライマックスシリーズに進出、2015年の黒田博樹投手、新井貴浩選手の復帰を引き金に、今や地元民でさえ観戦チケットがなかなか手に入れ難くなるほどの人気球団に成長した。リーグ3連覇という強い球団になったことも大いに影響していると思うが、それ以上に球団関係者がファン層の拡大と継続性のあるファン作りに取り組んだケースとして参考にしたい事例だ。

 

「お祭り騒ぎ」で終わらせないために必要なこと

ファッショントレンドの流れもあって、Tシャツは「8090年代リバイバル」をベースに、当時流行ったロックバンドやヒットした映画の名作シーンのものまで新たに登場している。デザイン、品質もピンキリとあって飽和寸前とまではいかないものの、プリントさえしていれば何でも売れてしまうようなコンテンツはごく一握りしかない。

特にターゲットを絞り込んだコンテンツでは商品完成度についてtwitterを通じて瞬く間に口コミが拡散されてしまう時代。何でもあるではもはや特徴とはいえず、その領域はネットの世界で完結してしまう。このあたりも踏まえた上で、デザイン性は当然としても、コンテンツ・ビジネスそのものの新規性と希少性を推し量る必要があると思う。

そして、それは単発の「お祭り騒ぎ」で終わらせないための取り組みも同時に準備しておくことを意味する。そのために売場を通じていかに驚き、共鳴、学びを体験させ、来店したお客にいかに深く感動を残せるかが重要となってくる。

『ワンピース』1/1スケール ストア・アイコンの意味

キャラクターストアでよく見掛けるのは11スケールのストア・アイコンは観光客や来店客に記念にもなるフォトスペースの提供はスマホ時代の現在には欠かせない。東映アニメーション(株)と(株)ムービックが共同で運営しているテレビアニメ『ワンピース』のオフィシャルショップでは、作品中の有名なシーンを模したポーズのストア・アイコンを使い、お客もその感動シーンに参加したかのような疑似体験を与える。これは11スケールのストア・アイコンによる驚きと、好きな作品の中に入り込むという共鳴が得られたケースだ。

学びの事例では、『新横浜ラーメン博物館』1階の展示ギャラリーで行う日本におけるラーメンの歴史の紹介、中国麺料理との違いやラーメンの要素についてテイスティングしながら学べる無料体験コーナーがある。「食」以外にも体験しながら学べる取り組みを行うことで、ラーメンについて造詣を深め、ラーメンファンづくりを進める例だ。

単発で終わらせないためには、コンテンツという感動型ソフトを使ったシナジー効果を最大限に引き出す工夫と環境作りが重要。そうして、コンテンツ・ファンづくりを進めることがアパレル小売りにとっても、現状の苦境から抜け出す方法の一手段になると思っている。

(2019年7月1日に執筆したものです)

 

 

« 2020年12月 | トップページ | 2021年6月 »