映画;シャネルからファッション史を学んでみる
男性にはあまり縁のないブランドではあるが、世の女性達にとって憧れの高級ブランド『CHANEL』(シャネル)について取り上げてみたい。1910年創業のシャネルは、ココ・シャネルがパリ1区カンボン通り21番地に「シャネル・モード」という名で帽子専門店を開店したのが始まり。先ず、この”ココ・シャネル”という名前自体本名ではなく「ココ」とは、愛称であって本名はガブリエル・シャネル。エルメスやルイ・ヴィトンと云った高級ブランドは王侯貴族や特権階級の人達からのニーズによって育まれたのと違って、シャネルはそう云った庇護を全く受けずに生まれ、結果的にそういった人達にまで愛されるブランドに育っていったのが、他のラグジュアリーブランドとは一線を画したブランドだろう。
又、デザイナーのココ・シャネルは孤児院で生まれ庶民階級に属し、デザイン、縫製、ビジネスに付いても全くの素人。それでも新しい「美しい女性像」を追い求めてこだわり続けた。有名なエピソードの一つに、首から断ちバサミをブラ下げて、気に入らない箇所はバシバシ切ったとか。又、活躍期に第二次世界大戦中のドイツ占領下でのパリや、連合国によって開放されたパリと、激動した世情も様々な形でシャネルに影響を及ぼす事になった。1939年に一旦、引退するも1954年に見事カムバックを果たす。恋多き中、生涯独身を貫いた生き様は正に映画のような一生!!と。
思いきや、何とシャネルを題にした映画は4本もある。その4本とシャネルが衣装協力など含めて関わった作品3本を、一覧表にまとめてみました。創業デザイナーしかり、現役デザイナーも大御所カール・ラーガーフェルドですから。まぁ、色んな意味で画になるラグジュアリーブランドなのでしょう。
では、最期にシャネルがレディスファッション界に影響を与えた6つのレジェンドを紹介します。
①:ニット素材(ジャージ)のスーツ
②:パジャマルック(女性のパンツスーツ)
③:シャネルNo.5香水(様々な花の原料に化学合成品を加え大量生産を可能にした)
④:リトルブラックドレス(カジュアルにもフォーマルにも装える)
⑤:ハンドバッグ2.55(クラッチタイプのバッグにチェーンストラップを付けて女性の両手を自由にした)
⑥:コスチュームジュエリー(貴石だけじゃなくイミテーションも組み合わせたデザイン)
今では何も珍しくない出来事に思えても当時は、当たり前の様に考えられていた価値観を壊していったのでしょう。特にリトルブラックドレスはシンプルなデザインだったからこそ、コピー化が可能になり、誰でもシャネル風のリトルブラックドレスを買えるようにもなったそうだ。
コピーされることは賞賛と愛をうけとること
と、当のシャネルは自身の商品コピーについて意に介さなかったらしい。勿論、発言当時の社会情勢や倫理観は現在と違うので一概な評価は控えたいが、私は感服した。
ファッションと階級社会の関係は、歴史を振り返るに従って濃厚な関係が築かれてきた。
それは洋の東西かかわりなく、種別、識別、権力、共通理念とファッションが人類に与えてきた役割は、今では想像出来ないほどに大きかった。そうした旧時代をブレークスルーした気鋭のデザイナーとして心に留めておきたい。皆さんもこの機会に是非、劇場、アマゾンプライム、ネットフリックスなどの最新デバイス等でシャネルについて触れてみてください。新しい価値観のファッションが、数多くの女性達の働き方や生活を変えていった、時代のパワーを感じます。そして今日、我々も新たなテクノロジーやアイディア、研ぎ澄まされたセンスによって、価値観を変えてしまえるくらいのファッションを作りたい!!
(2018年5月9日に執筆したものです)
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